ソラナミダ
社内はすっかり明るいコントラスト。
それもそのはず……。
クールビズで、暑苦しいジャケットにスーツを纏う者は…誰も、いないから。
ただ、
「M社に打ち合わせに行って来ます。」
営業の人達は……
別である。
ネクタイをキュッと締め直し、椅子に掛けたジャケットを手にとって。
今日も、博信は……
会社を出ていく。
ホワイトボードの久住の名の横に、外出の文字が……記されていた。
「………。……暑いな。平瀬、お前は何でそう涼しい顔してられるんだ~?」
遠くから、ハンカチで汗を拭う木村さんが…
大きな声で話し掛けてくる。
「……。男性と女性では、体感温度が違うみたいですよ?ちなみに…ウチの会社の設定温度は28度だそうです。」
「女に合わせてんのか!世の中過ごしにくくなったもんだなあ……。」
「……今は、女性も働く時代ですからね。」
そんな、いつもと変わらぬ日常が…
戻って来ていた。