ソラナミダ
東向きのベランダの窓から……
柔らかい陽射しが、部屋を明るく…照らしつけていた。
何もない部屋。
何ひとつ………
彼がいたその形跡は、跡形もなく…なくなっていて。
皮肉にも………
夜明けのその瞬間が……
綺麗に見えた。
私は、辺りを…見渡す。
ぴかぴかに掃除されたキッチンの台の上に。
ひとつだけ………、
見覚えのある、それがあった。
恐る恐る……手に取る。
「………指輪……?」
晴海くんが、首から下げていた……
「大切な物」。
側に置かれた一枚の紙切れが…目に入る。
『わこ へ』
「……私に……?」
わこ へ
これは、わこの母親の物なので…わこに返します。