ソラナミダ
季節は移り変わり……


あの中庭の木々の葉はほとんど落ち…
うっすらと霜が降りてきていた。



それでも私は、時間があればこの場所を訪れていた。


コートと手袋を身にまとい、星の見えない空を見上げていた。




そして……





『もうすぐクリスマス、そしてお正月ですね~。皆さんはどのように過ごすご予定ですか?』


普段は見ないバラエティー番組で、司会者の女性がカメラに笑顔を向けた。


「クリスマス…か。」


思い出したくない、一番つらい思い出…。



『クリスマスはいつも仕事ですね。』


そう答えたのは…


晴海くん。




ピッ…



私は、テレビを消した。


途端に部屋が静まりかえる。



……つらかった。


この冬を、どうやって迎えようかとずっと考えていた。


けれど……


どうにもならない事だった。







気を紛らわすことに、必死だった。


それでも、仕事が一番忙しい時期だということが、唯一の救いだ。


今日もテーブルに白い紙を散乱させて…、


鉛筆で、サラサラとイメージを画にしていく。


それはまるで4コマ漫画のように…。



そして私は、完全に仕事モードに突入する。




アタマの中に、自分が理想する映像を思い浮かべて…。


それだけで、ちょっぴり幸せな気持ちを取り戻すことができた。


そう……


落ち込んでいてばかりはいられない現実。


私は…


OL三年目。



職業…、


CMプランナー。



まだまだ駆け出しであるものの、新人で小さな会社のCM制作に携わって成功させて以来…、


こうやって次々と舞い込んでくる仕事。


描いては描いては紙を丸め、ごみ箱に増えていく絵コンテ。


「…はあ~……」







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