ソラナミダ
「…封筒に入れていった晴海くんのコンテ、アートディレクターの坂井さんが見てさあ…、【これいい!】なんてゴリ推し。知人が描いたって言ったらさ、すごい才能あるんじゃないかって驚いてた。着眼点が違うっていうか…、柔軟っていうか………。嫉妬しちゃったよ~…。」



「…俺からしてみれば、あんな嘘で塗り固めたようなのより……、平瀬さんが作ったみたいにちょっと夢見心地で…ほんわかあったかいのがいいけどね。感性だよなあ…、平瀬さんの人間性が出てる。」



「…………。」


「…ありがと…。実はね、私の案が通って…今度プレゼンすることになったんだ。」



「…マジで!すげーじゃん!」



「たいしたことないよぉ~。」


私は晴海くんの背中をバシっと叩いた。


「…いた…」



彼は少しだけ顔を歪めた。



私は…



嬉しかったんだ。



晴海くんが、こんな私を誉めてくれたから。


…自分が認められたと…、

そう、感じたから。




「…よし、晴海くん!今日は飲もう!」



「…まだ飲むの?俺、今から出掛けるけど…。」



「付き合い悪いなあ~……。………ん…?」



「……?どうした?」



「……。私……、回ってる?」



「……。回ってはいないよ。」



「…なんか頭がくるくるしてるけど…。」



「…平瀬さん。それ、飲み過ぎって言うんだよ。」



「…………。」



「…ねえ。大丈夫?」



「……気持ちわるい。」



「…え、ホントに?うわっ。こんなとこで寝ない方がいいって。」



「………。」



「………。嘘でしょ、おー…い。」






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