ソラナミダ
…………。
あれ。
今、【もったいない】って…。
「じゃあ今度彼氏できたら特に気をつけなよ?」
「ん。肝に命じておきます。…それより…、ずっとここに居てくれたの?」
「ん?ああ、そうだね。」
「放ってもらってよかったのに……。」
「………。」
「でも…、ありがと。」
「イヤ、どういたまして。」
「ふっ…【いたまして】?」
「3歳の甥っ子の真似。俺も小さい時そう言ってたらしい。」
「ああ、あるよね~、そういうの。私はとうもろこしを【とうもころし】って言ってたみたい。」
「怖いよ、ソレ。」
「…あはは、そうだね。あとはヘリコプターを……」
「!…分かった!」
「「【ヘリポクター】!」」
指を差し合いながら、二人の声が重なった。
「「あははっ…!やっぱり?」」
なおも、シンクロする。
「はあ~、笑った笑った!」
晴海くんは笑い過ぎて苦しそうにしている。
…と、
♪~♪♪~
携帯電話が鳴った。
「…ハイ、もしもし。」
さっきまで笑い転げていたはずの晴海くんの表情は、一瞬にしてキリッとした真面目な顔。
電話するさりげない姿でさえも…
ドラマから飛び出したみたいに様になっている。
「…うん、え?…今から?………いいけど、今、友達ん家。……えーと…、1時間後なら。…うん、わかった。じゃあ、また後で。」
電話を終えた晴海くんは、私の方に振り返ると……
にこっと笑った。
「…嬉しそう。もしかして、彼女?」
プライベートなこと、聞いていいかな…。
「うん、そう。」
「うわ、否定しない!」
「え。だって平瀬さんから聞いたんじゃん?」