ソラナミダ
「ねえ、わこ。」


「…ん?」


「久住さんには…、ちゃんと色んなこと…話してるの?」


「………ううん。」



「…最近仕事被らないし…、二人で話してるの見なくなった。」



「鋭いね。」



「社内恋愛見破るのが今や楽しみとなっているからね。悲しい独身女の娯楽よ。」



「…うわあ…悪趣味。」


「…で?アンタ達どうなってるの?」



美帆が身を乗り出す。


彼女が言う【久住】とは…



エリート揃いの営業部の人間である。


歳は2つ上。



そう……、



私の、元カレだ。



「…別れた。」


「………。はあっ?!いついつっ!てか何で?!どっちから?!」


「…どっち…?」



どっちから…。



「…振ったの?振られたの?」



「…美帆ちゃんもうすこ~しオブラートに包めないかなあ…。デリケートな話じゃない?」



「物事には白黒ハッキリ付けたいじゃない?特に恋愛に関しては…。」


「いや、まあ…そうかもしれないけどさ。」


「…で、で?」


「……どっち…だろうね?」


「なにそれ~。ずるい。みんなの憧れの久住さんをこっそり射止めておいて、あっさりポイ?それじゃあ敵の思うツボじゃん。」


「敵?」


「そうだよッ。アンタだから周りは文句言えなかったんだから。」


「……はい?何でよ。」


「入社一年目でCMゲットして上に気に入られて…?バッカだねぇ。このまま行けば人気クリエイターの妻で玉の輿、OL憧れの寿退社……。もったいないっ!できるなら代わってあげたいくらいだよ。」



「もしも~…し、妄想中悪いけど、寿退社とか有り得ないから。まだまだこれからだってのに。」



「…それか!」






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