ソラナミダ
残すはあと一軒。
私の部屋の右隣り…。
そもそもここに誰が住んでいるのかも、私は知らない。
一ヶ月前程に越してきたらしいが…
近頃は挨拶回りの習慣はないらしく、今だ名前すら知らない。
生活音すら…
滅多に聞こえてこない。
だから……
恐る恐る、インターホンに手を伸ばした。
ピンポーン……
「………。」
妙な緊張感が私を支配する。
どんな人が住んでいるのだろう。
変な人だったら…
どうしよう。
プッ…
『はい。…どちらさまでしょうか。』
モニターに映る私に不信感を持つような…
低い声。
「あの…、隣りに住んでいる者ですが……。」
「おとなり…。ああ、そうでしたか!平瀬さん…ですね。」
何で名前…知ってるの?
『ご挨拶にも伺わず失礼致しました。私、ここに越してきた【ハルミ】の知人で鷲尾と申します。彼なら今留守ですが…。ええーと…ご要件は?』
『鷲尾』と名乗るその人は、丁寧な口調で、けれどまだ警戒した様子で淡々と応対した。
…ハルミさん。
名字?
名前?
本人じゃない人がいるなんて…。そっちの方が、怪しいよ。
「これを落とさなかったか確認に来ました。」
私はカメラに、ネックレスを翳した。
「…すみません、少々お待ちいただけますか。」
しばらくすると、ゆっくりとドアが開かれた。
「…確かにこれは、ハルミのものです。良かった…。彼、これを探してたんです。でも…よく分かりましたね。」
「そこのエレベーターの前に落ちてたので、ここの階の方みんなに聞いたんです。あとハルミさんだけだったので…。」
私の部屋の右隣り…。
そもそもここに誰が住んでいるのかも、私は知らない。
一ヶ月前程に越してきたらしいが…
近頃は挨拶回りの習慣はないらしく、今だ名前すら知らない。
生活音すら…
滅多に聞こえてこない。
だから……
恐る恐る、インターホンに手を伸ばした。
ピンポーン……
「………。」
妙な緊張感が私を支配する。
どんな人が住んでいるのだろう。
変な人だったら…
どうしよう。
プッ…
『はい。…どちらさまでしょうか。』
モニターに映る私に不信感を持つような…
低い声。
「あの…、隣りに住んでいる者ですが……。」
「おとなり…。ああ、そうでしたか!平瀬さん…ですね。」
何で名前…知ってるの?
『ご挨拶にも伺わず失礼致しました。私、ここに越してきた【ハルミ】の知人で鷲尾と申します。彼なら今留守ですが…。ええーと…ご要件は?』
『鷲尾』と名乗るその人は、丁寧な口調で、けれどまだ警戒した様子で淡々と応対した。
…ハルミさん。
名字?
名前?
本人じゃない人がいるなんて…。そっちの方が、怪しいよ。
「これを落とさなかったか確認に来ました。」
私はカメラに、ネックレスを翳した。
「…すみません、少々お待ちいただけますか。」
しばらくすると、ゆっくりとドアが開かれた。
「…確かにこれは、ハルミのものです。良かった…。彼、これを探してたんです。でも…よく分かりましたね。」
「そこのエレベーターの前に落ちてたので、ここの階の方みんなに聞いたんです。あとハルミさんだけだったので…。」