ソラナミダ
「…電話…、終わった?」



久住が怪訝な顔つきで、近づいてきた。



「…深刻そうだったね。」


「…そうでもないですよ。」




「…ふ~ん。じゃあそろそろ俺らも戻るか。」



「…あ、でも宇野さんに挨拶してない。」



「…でも…、戻って来ないし。もう来ないんじゃない?」



「…多分…来ますよ。」



「………。それ、そんなに気にするところ?」



「………。気になりますよ、そりゃあ。ちゃんとご挨拶しないと。」



「…真面目だなあ…。」



「当然です。」




真面目なのは…


私ではない。



晴海くんはきっと来る。



ちゃんと約束を覚えていてくれる、律儀な性格…。



信頼できる、真面目な人だと気づき始めたから……。




「…じゃあ…、10分待とう。」



仕方ない、といった様子で…久住は長い息を吐いた。



しばらく互いに無言のまま……


時間がだけが、過ぎていく。






「…来ないな。」



「……来ます。」







「…もう行くぞ。」



「…まだ1分あります。」






そんなやりとりを交わした時だった……




「…すみません、お待たせしました!」




背後から、晴海くんの声。




ほらね…、


やっぱり来た。




目が合った晴海くんに、にこりと笑いかける。



訳はわかっていないだろうけれど……



晴海くんは、更にそれを上回る微笑みを返してきた。



おかげさまで…

まるで、心臓が跳びはねるような…そんな贅沢な思いをしてしまう。



晴海くんファンの皆様…、すみません!




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