君の初恋だけを

仕事も定時になり、今日はこれから
同期とお別れ会をする予定だったので
待ち合わせの居酒屋に集合した。



『茉莉亜の寿退社を祝して!

カンパ〜〜イ!!』



社会人も長くなると、
同期も寿退社や転職で徐々に辞め、
残ったのはこの7人だけだった。


比較的仲が良くて、男女関係なく
よく飲みに行ったりもしていた。



それがこれからは無くなるのかと思うと、
少なからず寂しく思ってしまう。


『旦那はもう大阪なんでしょ?』


同期の中でも一番仲のいい
藤井依理がニヤリと笑って言う。



『まだ”旦那”じゃないけどね〜。

そう、月に二回くらいは週末に来てるけど。』



『ラブラブだねぇ〜♪

よっぽど依理が可愛いんだろうね〜♪』



…確かに、純一はあの頃からの
時間を埋めたいかのように
私を愛してくれてるような感じだ。



『籍は入れたの?結婚式は??』



矢継ぎ早な質問に
少しうんざりして…



『依理〜!質問多すぎ!

もう酔っ払ったの??』



依理は首をすくめて少し
甘えるように上目遣いで



『だって〜!
茉莉亜がいなくなっちゃうなんて
寂しいじゃん!

ねぇ?大橋くん?』



依理は自分でほとんど空けてしまったワインボトルをドスンとテーブルに置きつけた。




急に名指しされた大橋くんは、
ビックリしたのか口にしたビールをむせ返していた。



『大丈夫?!大橋くん!!

も〜!依理はなんでも唐突なんだから!!』





< 117 / 156 >

この作品をシェア

pagetop