君の初恋だけを
仕事も定時になり、今日はこれから
同期とお別れ会をする予定だったので
待ち合わせの居酒屋に集合した。
『茉莉亜の寿退社を祝して!
カンパ〜〜イ!!』
社会人も長くなると、
同期も寿退社や転職で徐々に辞め、
残ったのはこの7人だけだった。
比較的仲が良くて、男女関係なく
よく飲みに行ったりもしていた。
それがこれからは無くなるのかと思うと、
少なからず寂しく思ってしまう。
『旦那はもう大阪なんでしょ?』
同期の中でも一番仲のいい
藤井依理がニヤリと笑って言う。
『まだ”旦那”じゃないけどね〜。
そう、月に二回くらいは週末に来てるけど。』
『ラブラブだねぇ〜♪
よっぽど依理が可愛いんだろうね〜♪』
…確かに、純一はあの頃からの
時間を埋めたいかのように
私を愛してくれてるような感じだ。
『籍は入れたの?結婚式は??』
矢継ぎ早な質問に
少しうんざりして…
『依理〜!質問多すぎ!
もう酔っ払ったの??』
依理は首をすくめて少し
甘えるように上目遣いで
『だって〜!
茉莉亜がいなくなっちゃうなんて
寂しいじゃん!
ねぇ?大橋くん?』
依理は自分でほとんど空けてしまったワインボトルをドスンとテーブルに置きつけた。
急に名指しされた大橋くんは、
ビックリしたのか口にしたビールをむせ返していた。
『大丈夫?!大橋くん!!
も〜!依理はなんでも唐突なんだから!!』