君の初恋だけを

『…?!おま…っ!
アレ、一泊いくらすると……』


動揺して慌てる彼に
意地悪な気持ちが少しだけ
二人に対する怒りを和らげた。


…ザマーミロ!


”愛実”さん、この人、
計画性ないから、貯金もほぼないからね。


少しだけ気分が軽くなり、
清々しい顔で二人を店に置き去りにした。


笑顔で去ろうとする私を見て
唖然とする”愛実”さんの顔が

少し、敗北に似た色を表した気がした。



彼女はこれから彼に
”ミラコスタ”以上のものを要求するだろう。



女は彼の元カノに対しては
誰でも負けず嫌いになるものだから。



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