君の初恋だけを

大橋くんとは駅が一緒で
たまに帰りが一緒になることもあった。


『…彼は今は大阪に?』


隣を歩きながら大橋くんが話す。

『うん。また再来週に来るって言ってたけど…。

数ヵ月には私もあっちいくんだから
無理して東京に通わなくてもいいのにね…』


苦笑いをしながら少し離れた大橋くんを見上げる。

ひょろりと背の高い大橋くんは
少し離れて歩いた方が話しやすかった。

いつも優しくにこりと笑っている大橋くんだけど、今日は何か考え事をしているみたいだった。



…悩み事かなぁ?



『……ねぇ、大橋く……っぅわぁ?!』



話しかけようとして何かにつまずいた。


そのままバランスを壊して
よろめいたところを大橋くんはうまく支えてくれた。


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