君の初恋だけを
『なんか学生に戻ったみたい〜』
缶ビールを片手にベンチに座ったまま乾杯をする。
『そう?
俺とセンセイはたまにやってるよ?』
大橋くんは悪戯っ子みたいに笑って言った。
『え〜!ズルい!!
私たちも呼んでくれればいいのに〜!!』
他愛もない話をしているうちに
大橋くんはいつも通りに戻った感じになっていた。
『…ふふっ…』
『…何?どうした??』
『な〜んか、元気になったみたいで
良かった〜と思って…』
はは…、と照れたように大橋くんが笑う。
『…なんかさぁ、』
大橋くんは座ったまま、
何処でもない宙を見るように言った。
まるで独り言のように
けれどどこかスッキリとしたような声で。
『…ちゃんと、
好きだ、って伝えてれば良かったなぁ、
て…思ってさ。』