君の初恋だけを
大橋くんはそう呟くと、
やっぱり何処でもないところを見ながら、
吐き出した言葉を消化してるみたいだった。
『…………。
そうだね。
ソレ、解る気がする…。』
大橋くんがビックリしたような顔で
こっちを見ていた。
私はあのコのことを考えて
少し微笑んだ。
『…でも、
言わない方が幸せだった。』
大橋くんはしばらく
まじまじと私の方を見ていたけど、
困ったように笑って缶ビールに口をつけた。