君の初恋だけを

ドサッ!

急に誰かが勢いよく隣に座った。

思わずギクリとして
さっきの男の子の言葉を思い出す。


”ヤリ専用ナンパ”


やっぱりいざ考えてみると
そんな恐いことはできなかった。

様子をみてダッシュで逃げようと
恐る恐る隣を見ると…


少し息切れした
さっきの男の子がそこにいた。


『…はぁ、はぁ…
……良かった…。』


『…大丈夫?』


思わず心配して声をかける。


『…ここ、ホント危ないから…、
せめて泣き止んでよ…。』


……え?


目から溢れる生暖かいものを
男の子に言われるまで気づかなかった。


『……私、泣いてたんだ…』


男の子は一瞬ポカンとして
次の瞬間にはゲラゲラ笑い出していた。


『気づいてなかったの?!』


そう言うと、まだお腹を抱えてた笑っていた。


『しょうがないなぁ。』


男の子の声が急に近くに聞こえると、
次の瞬間には目の前が真っ暗になっていた。



微かな香水の香りと、
温かくて広い胸の鼓動を感じる。



……抱き締められてる。



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