君の初恋だけを
男の子は満面の笑顔で
チュッパチャプスを差し出していた。


…飴?

…子供に子供扱いされてるよ。。。



男の子はニコニコしながら
飴を差し出してる。


まるで投げられたボールを捕ってきた犬が
飼い主に褒められようとしているみたい…



『……ぷっ!
あはははは!ありがとう。』



今度は私が笑ってしまった。



『…良かった。笑った!』



…!さっき息切れしてたのって…!



『コレ、わざわざ買いに行ったの?』



『…あ、うん。
ここホント危ないから…迷ったけど、
走れば大丈夫かと思って。』



なんだかくすぐったかった。



とても新鮮なできごとで
さっきまでの嫌な気持ちも、
もうすっかり洗われてしまった。



こんな出会って数時間の相手なのに、
なんだかとても幸せな気分にしてもらっていた。




私は今度はちゃんと目をみて
ありがとうともう一度言った。


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