君の初恋だけを
ほどかれた腕は
そのままだらり力を失った。
もう、そこから一歩も動けなかった。
君のその綺麗な目が好きだった。
ぎこちなく触れる手や、
私を呼ぶ優しい声や、
抱き締める力が意外と力強いのに、
笑顔が少年みたいに可愛くて、
必死に何かを伝えようとする姿や、
時折家族の話をする時に見せる
寂しそうな大人びた表情とか全てが
愛しくてしょうがなかった…
守ってあげたい、側にいてあげたい…
いつのまにかそう思っていた。
自分の中の初めての感情。
君とこのままいれたら
どんなに幸せな気持ちになってただろう…
でも……
目の前の男の子の手をとることが
この先どんなに難しいことがあるかを知っていて、
目の前の男の手をとることが
この先どんな安定した幸せがあるかを知っていた。