〔完〕 うち、なでしこになるんだから
 ああ、早く誓子のもとから去りたいと思ってたら、

「今お前は迷っているだろう。これを飲むと・・・。」

「普通のスポーツドリンクじゃん!」

 もう、一刻も早く誓子のもとから去りたい。
 おやつを少し食べ、牛乳を一気に飲んで、二階に上がった。


 二階に着くと、まっすぐ珠理の部屋に向かい、着いた瞬間ベッドに倒れこんだ。

 ふと、剛溜の顔が浮かんできた。
 


――剛溜は夢にまっしぐら。あのポーカーフェイスが。――

 いつも、剛溜と珠理は比較されてた。剛溜は素質があって、珠理は素質はないと言われ、兄弟なのにねっと何度言われたことか。

 珠理は城崎ドルフィンガールズでは、一年生の時からチームの正ゴールキーパー。
 一見すごいように思えるが、それは単に運が良かったから。一学年上が五人しかいなくて、しかもゴールキーパーができる人がいなかったから。
 

 剛溜は誰からも認められる才能があって、バンバンFCでは二年生の後半にはもう高学年のチームと練習してた。
 それに対して珠理は、女の子がゴールキーパーやっててっと批判されてばかり。

 サッカーに関しては、剛溜はバラ色の道で、珠理はいばらの道を歩んできた。
 



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