〔完〕 うち、なでしこになるんだから
 それからまた一週間後。今日も練習の無い水曜日。

 今日は半日で学校が終わる。夏休みが近いせいか。


 もう、大嫌いな学校生活から解放される。

 心踊りながら歩いてたら、

「玉川さんちょっと。」

 サッカー部顧問の数学の先生だ。

「何度言えば分かるんですか。」

 珠理が何回も言った文だが、その中で一番怖く聞こえる。

 ただでさえ、将来やプレーで悩んでいるのに。
 こんな、うざい話に付き合いたくない。
 怒りがこみ上げてくる。もう限界。

「こんな所では話せないので、どこか空き教室で話したいです。」

 先生は昇降口から、カウンセラー室へと連れてってくれた。


 先生と、珠理は向かい合わせに座って、

「まあ、うちのサッカー部は一・ニ年生が合わせて九人しかいない。
 しかも、キーパーできる人はいない。」

 珠理はためらいなく立ち上がる。

 スカートを強く握る。


「もうこの話二度とするな。
 今度したらただじゃすまないからな。」

 ためらうことなく、この部屋を飛出した。

 先生はその様子を見るしかできなかった。


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