〔完〕 うち、なでしこになるんだから
 先生の気持ちを理解しようとしない。
 っというより、理解したくない。

 珠理は女の子がゴールキーパーをするっという事が、いかに男の子の反感を買うのか、知っている。
 先生はそれが分かっているのだろうか、いや分かっていないと勝手に決めつけている。


 バンバンFCの時は辛いことがあった。辛いことだらけだ。
 でも、弱音を吐かず今まで抑え込んでいた。と言うより、弱音を吐いたら余計に男子になめられると思って押さえ込んでいた。

 城崎ドルフィンガールズだって、もちろん辛いことがある。今だってそうだ。

 って言うか、サッカーに関して、いろいろ辛いことがある。

 それでも、ずっと我慢してた。

 ずっと我慢して、ひたすらサッカーに打ち込んで、辛いことを幸せなことに変えようとしていた。

 もう、限界を超えた。

 サッカーに対する辛さを、先生に八つ当たりした。

 たった二文に、珠理が今まで押さえ込んでいた気持ちが凝縮されている。





  
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