〔完〕 うち、なでしこになるんだから
 もう一回リフティングでもするか。

 自己最高記録更新しようか。

 珠理はそう思って、深呼吸した。

 ボールをじっと見つめる。

 額から汗が流れたのに気が付かないぐらい、集中している。


 土踏まずや、ふともも、肩など、腕以外のいろんな場所でリフティング。

 肩のリフティングは・・・なかなかうまくできない。


―― 一、二、三、四、あ~れ~。――

 これだけ続いたらいいほうだ。
 いつもは、二回も続かない。

 肩のリフティングは、城崎ドルフィンガールズに入ってから、チームメートがやっているのを見てやり始めた。

 だが、一年経ってもうまくできない。

 十回も続いたことはない。

 

 肩リフティイングに苦戦している間に、時間が過ぎていった。

 ふと気が付いたら、時計は十三時二十八・九分をさしていた。

 まずいまずい。授業に遅れてしまう。授業に遅れたら・・・

 想像するだけで、焦ってしまう。 


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