〔完〕 うち、なでしこになるんだから
 珠理はあかりのところへ走り、

「くるみ大丈夫かな。」

「尻餅は、一番怪我が少ないっと言われているけど・・・。」

 あかりと珠理は、近いようで遠いところから見守るしかない。


 毬百に起こしてもらった来未。

 味方は当然心配する。

 来未はお尻に手を当てている。痛いから。

 相手チームの選手たちの間に、嫌な雰囲気が流れる。

 主審が現場に駆けつける。

 来未を心配して、倒した選手と目を合わせる。

 ポケットから何かを出そうとしている。


――レッドかな?イエローかな?――


 赤色のカードが珠理の目にも見える。

 レッドカード、一発退場を示す。

 これで、相手は十人で戦うことになる。

 一人退場になったからって、補充はできない。

 人数がそろってないから不公平だと思うが、これがルール。

 当然、相手チームも戸惑う。
 戸惑うどころか、こんなことあってほしくない。





 
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