〔完〕 うち、なでしこになるんだから
微妙な学校生活
 三階にある二年生の普通教室。

 “2-1”と書かれた看板が見えた。

 引き戸が開いてたから、珠理はそのまま入る。

 その場にいる者からの反応はない。


――はあ。――

 心の中でため息をつく。


――さっきは幸せだったのね。――

 憂鬱な時をまた過ごさなくてはならないと思うと、思わず嘆いてしまう。

 学校では珠理は本当の自分を隠してる。
 性格だけではなく夢だって。

『なでしこになる。』

 っという夢を。

 学校の友達は、女の子がサッカーやることを理解してない。


 仮に夢を言ったら、

『そうなんだ。がんばって。』
『珠理が出る試合、絶対応援するからね。』

 という感じで、プラスなことを言ってくれる人は、絶対いないと思っている。珠理の頭の中では。

『男と一緒にやっているの。モテるため?』

 という感じで、マイナスなことを言う人しかいないと思っている。学校の友達の場合。
 今は男の子と一緒にサッカーしてない。女子サッカーチームに入ったから。

 だけど、小学生の時は男の子に交じってサッカーをしていた。それが原因でいじめられていた。



< 16 / 213 >

この作品をシェア

pagetop