〔完〕 うち、なでしこになるんだから
 後ろに振り返って時計を見ると、今、後半十八分をさしている。

 交代や、退場があったからロスタイムが長くなるだろう。最悪四分ぐらいあるかもしれない。

 っとなると、あと十分はあるっと思ってやった方がいいっと珠理は思う。

 

――集中、集中。――

 珠理は自分の頬を叩く。
 二点差あるからって、油断しないようにしないため。

 二点差あっても、相手はこの試合を諦めてくれるとは限らない。
 
 顔をあげて相手の表情を見ると、まだ諦めてない様子だ。
 二点、いや三点取りにいくっと言う思いが、顔に出ているような気がする。

 珠理は唇を一時的になくしてから、

「守りきろう!」

 
 このまま勝ちたいから、自然と声が出た。

「おー!」

 梗子が、珠理の声に応じてVサインを出す。

「絶対勝つぞー!!」

 絆も声を出す。

 その様子を見ると、珠理に勝ちたいという気持ちがますます湧いてくる。


 ぴーぃ~♪

 センターサークル内でボールが動いた。




< 163 / 213 >

この作品をシェア

pagetop