〔完〕 うち、なでしこになるんだから
 その後、珠理が予想とは反して、どちらかと言うと攻める時間が多かった。

 もしあの退場がなければ、珠理たちは守る時間が多かったかもしれない。

 実際、後半十六分で入ってきた選手は攻める選手だった。

 だけど次第に、相手の目はもう諦めている選手と、諦めてない選手が混じってた。
 攻撃の際、諦めてて攻める気ない選手がいて、交代した選手をうまく活かせてなかった。

 そんな幸運があって、城崎ドルフィンガールズがほとんど主導権を握っている。

 それでも珠理は油断しない。
 サッカーは、本当に何が起こるかわからない。
 油断したら、一点取られる。味方がゴールを攻めれば攻めるほど、珠理は気持ちを引き締めていく。


 どんどん時間は過ぎてゆく。

 途中、あわや失点するような場面もあった。

 だから、勝った気分にならないようにする。

 最後列から仲間を鼓舞し続ける。

 三対一のまま、ロスタイムの目安が表示された。

 三分だ。

 退場で手間取ったのと、交代とかで一時中断が多かったからだろう。

 三分は比較的長いほうだ。




 

 
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