〔完〕 うち、なでしこになるんだから
「おい、俺が相手しようか?」

 なんだろうと思って二人が振り返った。
 その顔を見て、振り返らなきゃよかったっと後悔した。

 源希の姿を見てしまったから。

 どうしようと戸惑う。
 たがいに目を合わせる。

『ねえ、どうするの?』
『どうするって、どうすんだ!』

 そんな二人の会話が顔から聞こえる。

 二人にとって源希は・・・

 珠理の頭にあの日の光景がよみがえる。


 珠理が小学六年生の時、つまり今から約二年前のこの公園でのこと。

 いつものように珠理、剛溜、源希に唯がサッカーの練習も兼ねて遊んでた。

 その頃、珠理は城崎ドルフィンガールズに入ることが決まり、唯は小学校卒業と同時にサッカーを止めることが決まってた。
 源希はJリーグ(日本男子サッカーのトップリーグ)の名門ジュニアユース(中学生年代が対象のチーム)にすべて落ち、中学生が対象の地域サッカーの強豪チームに入ることが決まってた。


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