〔完〕 うち、なでしこになるんだから
『女がサッカーをやるなんて。』

『っていうか、おなべ。』

『男と仲良くなりたいの。』

『まじ、気持ち悪い。』

 ほとんどの人がそう言って笑う。
 笑うっというよりは、嘲笑する。冷やかす。

 そんな調子で、珠理が小学生の時、男子に交じってサッカーをしていることが原因で、学校でいじめられていた。

 そのせいで、珠理の夢は学校では言わないようにしてる。
 夢だけではなく、今、女子中高生のサッカーチーム『城崎ドルフィンガールズ』に所属していることを言わないようにしている。

 自分と夢を守るために、クラスでは周りの様子を見ながら、目立たないようにかついじめられないように行動している。
 そのせいか、珠理はクラスでは友達がいない。学校生活が楽しく感じない。
 唯一の救いが昼休みである。


 ポン~♪

 ボールを蹴る音が、

『この話するのはやめてくれ。』

 っと、言っているように聞こえる。

 仕方ない、リフティングの様子を話そう。


 
 
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