〔完〕 うち、なでしこになるんだから

――あっ。――

 サッカーをやっている男子の中、一際目立つ格好をしている源希の姿が、ふと目に飛び込む。

 源希は珠理の幼なじみ。

 物心つく前から、一緒にサッカーをやっていた。

 珠理と剛溜と源希。
 この三人は、夢中でボールを蹴っていた。


 
――小さい時は優しいやつだったのに、今は・・・――

 ワックスバリバリつけて、髪を盛り上げる。
 髪は微妙に茶色で、染めているんではないかと噂されているが、これはもともとの髪色だ。
 日に当たりすぎて、色が抜けたと思うが。

 それはいいとして、Yシャツを第二ボタンまで開けて、派手なペンダントを付けて、派手なベルトに、腰パン。

 黄金色の肌に、釣り目がさらに怖さを増す。

 結論言うと、源希は不良になってしまった。


 小学生の時は、優しくて、強かった。

 チーム内で孤立する珠理をかばっていた。
 剛溜もそうだったが、一番かばってくれたのは源希だった。

 今は優しさが消え、強さばかりが目立ってしまっている。
 それもいい意味での強さではなく、悪い意味で。

 




  
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