〔完〕 うち、なでしこになるんだから
「おい、上。」

 先生に目をつけられた。源希は全く気にしてない。

「おい、なんで音楽聞いているんだ。」

 強い口調で言っても、源希は音楽聞くのをやめようとしない。
 携帯をいじった。たぶん音量を上げたのだろう。

 先生が教卓から離れた。源希の席の方に近づく。



――あーあ。だったら寝たいんですけど。――

 この後どうなるか、珠理には分かっている。
 

 
「授業中に携帯いじるな!」
「あぁ?」

 源希と先生との戦い。

 正直、珠理はこの様子を聞きたくないし、見たくない。

 ああ、こんな時に寝れる技術があれば・・・
 そう思ってしまう。



――『じゅーちゃん。』――

 源希の背中に、あどげない笑顔の源希の顔が重なる。


――『僕、絶対日本代表になるんだから。』

    『うちも。』――

 珠理の耳には、甲高い珠理の声が聞こえる。


――『約束だからね。』
    『うん。』――


――あっ、もしかして・・・一緒に遊んだあと、いつも指切りげんまんしてたね。――




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