〔完〕 うち、なでしこになるんだから
 今でも本気で日本代表になりたいと思っている。

 源希はどうなのかは知らない。


 源希との思い出を思い出したら、珠理は次第に苦しくなる。

 今、源希と珠理は口きかない。
 その原因となった事件があるから。

 それは、どうしても思い出したくない。

 思い出したくないから授業に集中しようとする。

 いや、今は無理か。見たくないところだし。じゃあ、何をすれば・・・


「おい、携帯出せ!没収だ!」
「・・・・・・。」
「没収だ。携帯出せ!」

 教室中に先生の怒鳴り声が響く。

 珠理はビビってしまった。
 それでも、源希は動じない。

 こんな展開になってしまうのが嫌だ。
 逃げたい。



――そうだ、サッカーのことを考えればいいんだ。
   今のチームのサッカーについて考えれば。――

 来月の下旬から、三年生にとっては中学生時代最後の大会がある。


――全国に出て、優勝したいなぁ…。――

 





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