〔完〕 うち、なでしこになるんだから
 ぴ~、シュー~♪

 バスの扉が開いた。

 満はすみれに手をつながれた状態で、珠理は二人のあとを追ってバスを出た。

 ちゃんと、定期を運転席にある機械にかざしてから出て行った。

 チームの練習拠点である、城崎公園の正門へ傘をささずに猛ダッシュ。


 すみれが一番早く着いた。
 二番目が珠理。びりは満。

「いっつー(すみれ)、速すぎ。」

 満は息切れ。

「はぁはぁはぁ。」

「ナガモン、大丈夫?」

「ああ。」

 満は両手を腰に当て、深呼吸。
 冷たい雨が満の顔に当たり、まるで汗をかいているように見える。


「ねえ、二人とも荷物置いて自主練しよう。」

「さんせー(賛成)。」

 珠理と満がそう言っているうちに、すみれが体育館に向かって走り出した。

「あっ、いっつー。ずるいっ!」

 珠理と満が追いかける。

 途中で他のチームメートを追い越した。

 もし、先輩だったらいったん止まって挨拶してから、また走り出す。




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