〔完〕 うち、なでしこになるんだから
 珠理は将来に対して追い込まれる一方、剛溜はサッカー学院の入団試験に備えて着々と準備してる。

 珠理のチームの練習が休みの時は、剛溜の相手をする。

 剛溜のサッカーで得意なことは、得点を取ること。特に、足の速さを活かしたドリブルが得意。

 そんな剛溜と珠理の一対一。
 剛溜はドリブルで攻める。

 ここは固い公園の地面だから、あまり派手な守備はしない。

 適切な距離・位置を取り続けて、地道に剛溜を追い込むつもり。

 血の繋がった姉弟だが、容赦しない(危険なことはするつもりはない)。
 容赦したら、剛溜の練習にならない。


 剛溜がボールを一蹴り。珠理は慌てず対処。

 次第にスピードが上がる。
 次第にスピードを感じる。

 女子同士だとこんなのあまり感じない。

 珠理から見て左にドリブル、あっ急に右に切り返した。

 あっさりと珠理を抜かし、トップスピードでゴール代わりの木と木の間へ走る。

 珠理がどんなに全力で走っても、剛溜に追いつけない。

 落ち着いてシュート。

 決まった。


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