〔完〕 うち、なでしこになるんだから
 うっとうしい一学期期末試験が終わった翌々日。
 今日は練習試合。相手はわざわざ越県し、城崎公園へ来ている。

 城崎ドルフィンガールズがあるO県の、お隣の県が本拠地のチームだからね。

 城崎公園は、少々大きさは小さいが、本格的なサッカーコートを持っているからね。
 手入れの行き届いた天然芝。
 芝が生えているサッカーコートなんて、なかなかない。

 他のチームはきっと、固い地面でやっているだろう。


 今日の練習試合では、一試合につき二十五分。
 試合と試合の間に二十分休憩を入れ、メンバーを変えながらやって、合計六試合やる予定だ。


 城崎ドルフィンガールズのメンバーは、いつも通りに準備体操をする。
 相手も同じだ。

 ほかのチームメートの集中力は高まる一方、珠理は今一つ上がらない。
 将来を悩んでいることが影響しているのか。
 いつも、練習試合に臨む時の表情とは違う。異様に暗くて、ほとんど下を向いていて・・・。雲一つない青空とは反対に、珠理の心の中は土砂降りだ。


 それでも最初の試合、珠理が先発することになった。




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