〔完〕 うち、なでしこになるんだから
 いざコートへ。

 審判はドルフィンガールズからゴールキーパーコーチ。相手からはコーチ(監督とコーチは違う人)。

 ピー~♪

 試合開始のホイッスルが鳴り響く。


 今日はいつもとは違う。

 やけにぼおっとしていて、集中力がなくて・・・。


 
――ほら、いつでも準備!!――

 そう思っても、


――別にいいじゃん!うちってまじめすぎなんだよ!――

 そう思っている自分もいる。

 気持ちの格闘をしているだけで精一杯。

 味方はどんなプレーをしていて、敵はどんなプレーをしているか。それさえ分からない。

 監督が何を言っているのかは、もっと分からない。


 そうしているうちにボールが、珠理の目の前に向けて飛んできた。

 慌てて、構えた。

 ボールは一回取り損なって、慌てて珠理は体でボールを覆いかぶさるようにしてボールを取った。おなかにボールが当たった衝撃で、珠理は少し気を失った。


「ジュジュ。」

 梗子の声で、やっと我に返った。

 慌てて起き上がり、フリーの状態にいる南良能にボールを投げた。


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