〔完〕 うち、なでしこになるんだから
「ただいま。」

 今日は水曜日。練習がない日。

 サッカーがなくて安心しているのか、無くてさみしいのか分からない感じで学校から帰ってきた珠理。


「にゃ~。」

「ミラン~。」

 玉川家のペットで三毛猫のミランが珠理のもとへ。ミランは人が帰ってくると寄ってくる。

 ミランを見た途端、珠理の険しい表情が、一気に優しい表情に変わった。
 
 ミランを抱いて靴を脱ぎ、リビングについてソファにそっとおろす。

 珠理もソファに座って、

「もうかわいい。」

 首や背中を手でなでる。
 
「こら、珠理よ。お前は今日猫に・・・。」

 珠理の祖母の玉川誓子(タマカワチカコ)が隣の和室から現れてきた。
 珠理は出たよっと言っているような顔をして、目をそらす。

 理由は変な占いを信じているから。
 そのせいで、これまで幾度も、珠理と剛溜や二人の両親に迷惑をかけたことか。
 例えば珠理や剛溜の名づけは大変だったらしい。画数やらいろいろな占い上の理由をつけて文句を言って、決まるのに半年ほどかかったらしい。






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