Wild Rock


 見たことのあるやり方。

「これ、は…?」

「少し異例ではありますが、洗礼を始めます」

「え?!」

 あたしはびっくりして立ち上がって声を大きめに出してしまった。

「異例すぎます! 何で洗礼なんか!」

「私は、今から貴女をオルレアンの聖女に任命します」

 更にびっくりして声も出なかった。

 あたしが、オルレアンの聖女?!

「ちょっ! ちょっと待って下さいマリア様! 聖女の名を継ぐなんて、荷が重すぎます!」

 いくらマリア様が最年少の聖女とはいえ、まだまだ先のある年齢なのに、何であたしなんかを?!


「あなたの『ルーチェ』と言う名は、『太陽』と言う意味を持ちます。貴女を抱き上げた時、太陽から一筋の光りが貴女をさしていたので、その名をつけました」

 聖女の証の指輪を外しながら言葉を続け、わたしの前にひざまづく。

「私にとって、貴女は光りある者でした。そして、見極めさせてもらった。貴女を育てあげれたことを誇りに思います」

 
< 193 / 251 >

この作品をシェア

pagetop