Wild Rock


 動く暇なく、マリア様はサーガタナスの爪の餌食になってしまった。

「マ…マリア様…?」

「ル…チェ…よか……」

 マリア様の身体よりも、あたしの身体の方が早く冷たくなる。

「や…やだ…あたしが守らなきゃいけないのに……!」


  主よ! いらっしゃるのならあたしの声を聞き届けて!

 皆を! マリア様を助けて!


 あたしは泣き叫びながら主に祈りを捧げた。

 なのに、その片鱗すらない。

 主にこれだけ仕えている市民やシスター達の祈りすら聞き届けられないなら、あたしはそんな主ならいらない!

 必要ない!


 込み上げてくる。

 感じたことのない力が、体中の血管を通ってやってくる。

「ああああああぁぁ!!」

 指輪とタトゥが共鳴し、あたしの下には金の魔法陣が現れた。

 12星座の刻印が円にえがかれた、六芒星の魔法陣。
 そこから金に光る蔓が鬱蒼と生えて、辺りの魔族達を灰へと還していく。

【なっ?! 何だこの力は!? 一旦引けぇ!】

 
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