Wild Rock


 サーガタナスはその力に恐れを為して、肉を貪っていた魔族達を引き連れて、デイモンズ・ゲートを開いて退却していった。


 気がついたときには、血を綺麗に拭かれ、ベッドに横たわっていた。

 起き上がろうとしたとき、院長に止められた。

 またベッドに身体を沈めたとき、鐘が聞こえてきた。

 死者を弔い、主の身元へ送るための鐘の音が。

 マリア様のご遺体は、イエスの像の元にあると聞き、あたしは院長に肩を支えてもらいながらそこへ向かった。

 華やかなユリの花の匂いが漂う教会。

 そのユリの花に包まれるように、マリア様は横たわっていた。

「マリア様…ごめんなさい…守って、あげれなくて…ごめんなさい……」

 棺にもたれながら謝っていると、肩に院長の手が乗った。

「ルーチェ。こちらへ」

 思い詰めたような顔で言われ、わたしは何も言えなかった。

 ついて行った場所は懺悔室。

 壁にかけてあるカーテンを開けると、そこには隠し扉があった。

 
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