Wild Rock
こんな所に、こんなドアがあったなんて。
鍵を開け、扉の向こうに見えたのはとんでもない光景だった。
「武器庫…」
「そうです。対魔族用に準備していたものです。今回は役にはたちませんでしたが、さあ、あなたもこの中から好きなものを選びなさい」
マリア様も、ここで聖剣を見繕ったという。
あたしは自分の靴音が響く中、手に取ったものは拳銃。
小さなあたしには剣を扱えきれない。銃なら、遠くにいる者も、撃てる。
「ここは、もう一度狙われるでしょう。貴女はここから逃げるのです」
あたしは耳を疑った。
来るとわかっているのに、あたしだけのこのこと逃げれるわけがない。
「何言ってんですか! あたしも戦う!」
「マリア様から言付かっています。新しい『マリア』をここから遠ざけ、守り抜きなさい、と」
院長はあたしと同じ視線に立ち、手を握る。
「教会の外は、私達が思っている以上に危険です。先代が認めた方なのですから、貴女は強く生きていけるはずです」