Wild Rock
ゴーストタウン
荒れ果てた都市。
木々は枯れ、レンガで作られた家屋は崩れていた。
乾いた風が吹き、キィキィと音を立てながら雨戸が揺れている。
見渡す限り、廃墟と化したゴーストタウン、アトラティス。
地面を踏む度に、ジャリジャリと砕かれたレンガの音が鳴る。
窓の隙間に風が吹き抜け、魔物が吠える声にも似た音が耳障りだ。
きうるりゅるる~
更に耳障りで緊張感のカケラもない音に、後ろを歩いていたフェンリルがルーシュの尻を蹴り飛ばした。
思い切り顔をぶつけたルーシュは激怒し、鼻を押さえながら叫ぶ。
「いってぇな! あにすっだよエロウルフ!!」
「てめぇこそ、緊張感のカケラもねぇような腹の虫鳴かしてんじゃねぇよ!」
ガガウン!
「やかましい! ガレキみてぇに冷たくなりたいかあっ!」
『なりたくないでありんす~っ!!』
ヴヴ…ン…
虫の羽音にも似た音が聞こえ、ファブニルは短剣を数本投げた。