Wild Rock
公爵の使者
「なあ~っ! 俺飽きたぞ~っ!」
唐突にダダをこねだすルーシュ。
あとの三人もいささかげっそりした顔をしている。
あれから五日が経った。
あの日以来、毎日朝昼晩と、一時間置きといっていいほど魔族の団体ツアーがやってくるのだから、いい加減飽きるというもの。
いやむしろ空気読めと言いたくなるくらい、四人はげっそりしている。
「でもそろそろ、メインディッシュにさしかかっても、いいころなんじゃないかしら?」
ファブニルが腕を組みながら言う。
それもそのはず。目の前に立ちはだかる者達は、今まで来ていたザコとは桁違い。
トロルでもバーサーカーでもゴーレムでもない。目の前に立ち塞がりし者。
それはソロモン72柱のバールの旗を掲げた鉄器兵団。
馬と呼べるほどのものかはわからないが、それに似た形の動物らしきものの背に乗り、鎧は鈍く光る血の色をしている。