Wild Rock
領主の元へ
「サバト…だと?」
マリアは一呼吸置いてからアテナに言葉を返した。
ファブニルは震える手でコーヒーカップを取り、口へと運ぶ。
「はい。ついこの間まで魔族が頻繁にこの都市を襲うようになってたんですけど、ある日を境に全く来なくなったんです」
「ある日を境に?」
フェンリルがタバコを取り出しながら言うと、アテナは頷きながら言葉を返した。
「えぇ。領主が新しいバトラーを雇ってからなんです。それと同時に、街の若い男の子達も神隠しにあったのかと思うくらい行方不明になって…」
フェンリルは怪訝な顔をしながら言葉を返した。
「男ねぇ…。サバトに男っての聞いたことねぇぞ?」
「魔族の好みによって違うって聞くわ。アタシみたいに」
全員が納得した。
「今の話しから聞くと、魔族が来なくなった時期とバトラー、さらにサバトが同時期に起こった。ということか」
マリアも紫煙を吐きながら言うと、アテナは頷いた。
「そうなんです。だから街のみんなも怯えてて…」
ルーシュを除く三人はしかめっ面になり、アテナは他の客に呼ばれてその場を後にした。