Wild Rock
闇に住まう者
誰一人として、夜の街を歩いているものなどいない。
そう。犬や猫でさえも…。
ポケットに手を突っ込み、冷たい夜風の中歩いているのは、マリアのみ。
響くヒールの音。
その音を頼りに、後ろからゾロソロと音も無く近づいて来る謎の物体。
気づいているのかいないのか、マリアはいつもと変わらない表情でタバコを吸って歩いていた。
ぐるおおぉう!!
謎の物体が、単体でマリアに襲い掛かる。
マリアはタバコを吹き出し、地面を強く蹴って街灯の上に飛び乗った。
月明かりに照らされた謎の物体は、この街の住人。
身体は腐り果て、目は無く、所々に骨らしき白いものが見える。
「面倒だねぇ。ネクロマンサーか…」
頭をポリポリと掻きながら、ため息混じりな声を出した。
ネクロマンサーからコウモリの翼が生え、壁にぶつかりながらマリアの元へと飛び上がる。
「光り輝くもの 忌むべきもの 総てを在るべき姿へと還し
主の輝きの名のもと
汝等に救いの光りあれ!」