先生あのね?
冬休みが明け、最初の授業の日。
理恵は久しぶりに前川に声をかけた。
『前川先生。』
「おー!どうした?」
受け入れてくれるだろうか。
今さら。
気を抜いて勉強を怠った理恵のことを。
『…。』
黙って俯く理恵。
先に口を開いたのは前川だった。
「これあげるよ。中身入ってないけど。」
渡されたのはクッキーの缶。
宝箱みたいな可愛い缶。
『…ありがとう。』
前川はにっこりと笑う。
久しぶりに正面から見た前川の笑顔に
心臓がはち切れそうだった。