先生あのね?
「ただいま」
塾のない日。
部活を終えた理恵が家に帰ると
お兄ちゃんがにやにやしながら近づいてきた。
「今日塾に遊び行ったら前ちゃんがいて話したぞー」
『前川?何を?』
「大分気に入られてるみたいじゃん。可愛いってっ羨ましいって言われたよ。」
単純に嬉しかった。
お兄ちゃんは理恵の気持ちを知らないから
気を使っていってるはずもないし
ましてそんな嘘つくような人じゃない。
「もっと理恵が大人だったらよかったのにね?」
そう言い残すと
にやにやしたまま部屋へと帰っていった。
『大人だったらか…』
なんだ。つまり妹みたいな感じ?
だってお兄ちゃんに羨ましいって言うんだもんね。
『でもいいや!嬉しいや。』
そのまま部屋へと飛んでいき、塾の宿題を片付けた。