恋なんてミステリアス
母は既に夕食の後片付けでキッチンに立っていた。 真理恵はテ―ブルに卒業アルバムを開いた状態で置くと、すかさず母に聞いた。
「この顔、知ってる?」
母は、どれどれと言いながら老眼鏡を掛けた。
「あ―、この娘だよ。入江さんちのサッちゃんは」
真理恵は不思議だった。「私が知らないのに、どうして二人とも知ってるのよ?」
母は逆に驚いた顔をした。
「何言ってるのよ。あんた、小さい頃によく遊んでたじゃないの」
「遊んだ?私が?」
「そうよ。保育園の頃、近所に住んでたから行ったり来たりしてたでしょうに」 真理恵の記憶が甦った。言われてみれば、そうだ。確かに、仲良く遊んでた女の子がいた。でも、何故かそのうちにその娘は消えて居なくなったような気がする。
「この娘、何処に行ったんだっけ?」
母が言うには、同じ町内の別の学校区に引っ越して行ったが、その後は会ってはおらず、私が小学生の頃にはもう思い出す事も無くなってきたという。それは真理恵も同じだった。だからといって、中学では言葉さえ交わした事が無いのに今更中学の同窓会の誘いだなんて、それが真理恵には釈然としないところであった。
「この顔、知ってる?」
母は、どれどれと言いながら老眼鏡を掛けた。
「あ―、この娘だよ。入江さんちのサッちゃんは」
真理恵は不思議だった。「私が知らないのに、どうして二人とも知ってるのよ?」
母は逆に驚いた顔をした。
「何言ってるのよ。あんた、小さい頃によく遊んでたじゃないの」
「遊んだ?私が?」
「そうよ。保育園の頃、近所に住んでたから行ったり来たりしてたでしょうに」 真理恵の記憶が甦った。言われてみれば、そうだ。確かに、仲良く遊んでた女の子がいた。でも、何故かそのうちにその娘は消えて居なくなったような気がする。
「この娘、何処に行ったんだっけ?」
母が言うには、同じ町内の別の学校区に引っ越して行ったが、その後は会ってはおらず、私が小学生の頃にはもう思い出す事も無くなってきたという。それは真理恵も同じだった。だからといって、中学では言葉さえ交わした事が無いのに今更中学の同窓会の誘いだなんて、それが真理恵には釈然としないところであった。