クールな彼が好きすぎて困るんですが!!
「この前は、聖借りちゃってごめんね?」
「…あ……いえ…」
この前……山田くんと伊吹先輩が、一緒に帰った時のことか。
伊吹先輩は手の平を合わせ、ペロッと舌を出して謝る。
……山田くんの事、物みたいに言うんだな。
「聖が一緒ですごく頼もしかったな」
「…あー…そうですか…」
それをわざわざ、あたしに言う必要はあるの?
しかも変わらず笑顔で。
俯くあたしに、伊吹先輩は眉を下げて微笑んだ。
「あの日ね、彼氏にフラれたんだ」
「………えっ…?」
フラれた…?……彼氏に?
驚いて顔を上げて見た伊吹先輩は、さっきとはうって変わって今にも泣きそうで。
目を潤ませて、目線は床を見つめてる。