クールな彼が好きすぎて困るんですが!!
「松川くんって勘が鋭いのね。“この性格”、絶対バレないと思ってたのにな」
……やっぱり。
松川は小さく呟く。
前々から、ごく一部の生徒に変な噂を聞いていた。
“伊吹スミレは男と遊んでいる”
“来る者拒まず”
“気に入った男はどんな手を使っても落とす”
嘘、だと思っていた。普段の伊吹先輩からは、想像も出来ないような噂だから。
けれど噂は本当だった。
今目の前で妖艶に微笑む、この笑みが何よりの証拠だろう。
立本は、はめられたんだ。
「そうだよ。柚希ちゃんの聖大好きって気持ちを利用したの。そうしなきゃ、あの子ずーっと聖にくっついてそうだし」
次の言葉を聞いた瞬間、俺は伊吹先輩を殴りそうになった。
「はっきり言って、ウザいんだよね。あの性格」
伊吹先輩はそう言い、何が可笑しいのか突然吹き出した。
女の人に、これ程まで殺意が湧いたのは初めてだ。