クールな彼が好きすぎて困るんですが!!
「…あ、居た」
「………っ!!!?」
ドアを通ろうとしたあたしの目の前。見慣れたYシャツのボタンが、Hello♪って挨拶する声が聞こえる。
…これは幻覚だ。
そうだそうだ。幻覚だ!
ゆっくりと目線を上へと上げて行く。
終点は、真っ直ぐとあたしを見下ろす山田くん駅。
……これも、幻覚だ。
「あのさ、俺あんたに話が…」
「すいません急いでるので!」
山田くんの言葉を遮るように、わざと大きな声で叫ぶと山田くんの横を通り過ぎた。
俯き、鞄の取っ手を固く握って、目を絶対に合わさずに。
「おいっ…」
山田くんの呼び止める声が聞こえたけれど、後を追って来た美喜ちゃんと共に駆け足で下駄箱を目指した。