クールな彼が好きすぎて困るんですが!!
……心臓が、止まるかと思った。
バクバク言ってる。ドキドキしてる。
心臓で送られた血液が全部顔に行ってるんじゃないかと思うくらい、顔が熱くて火照ってる。
「ちょっ…柚希、速い!」
「…あっ…ごめん美喜ちゃん」
校舎を出た辺り。
美喜ちゃんが膝に手を付いて前屈みになりながら、浅い呼吸を繰り返してる。
無意識にここまで来てたんだ……。
「…そんなに、山田くんに会ったのビックリしたの?」
「……うん」
「そう……でもさ柚希。今の柚希の諦め方は、山田くんに嫌われる諦め方だよ」
「……え?」
美喜ちゃんは体勢を直し、真剣な表情であたしを見据えた。
「柚希は諦めるために避けてるから良いかもしれないけど、山田くんは理由も無しに一方的に避けられてるのと同じだよ?
諦めるのを止めろとは言わない。でも、もっと良い方法はあるでしょ?
柚希も山田くんも苦しくない、良い方法がさ」