クールな彼が好きすぎて困るんですが!!
早いとこ戻ろ。
クルッと爪先の方向を変えて、体育館へ向かって歩き出そうとした。
………のに。
「…何、この手?」
「え?伊吹先輩帰りそうだったんで、引き止めてます♪」
可愛い笑顔されても…。
私の右手を掴んで、行かせてくれない要くん。
…何かもう、ガチで面倒臭い…。
「離して」
「そんな怖い顔しないで下さいよ。せっかくの可愛い顔が台無しですよ?」
……あー、そうだ。
いつだか聖が言ってた。“要は大の女好きですよ”って。
確かに、かなり女慣れしてる感じはする。
一向に離してくれなさそうな要くんに、私は観念した。